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「3大理論」

「C/Pバランス理論」「未充足ニーズ理論」「新市場創造理論」MCHの「3大理論」とよび、ヒット商品開発の助けとしております。
以下にその理論をご紹介します。

C/Pバランス

理論

「売れる商品の基本要素とは何か」

 ◇「C/Pバランス理論」は、梅澤が10年間の相関研究をもとに1984年に発表し、その後20年にわたって検証してきた「売れる商品」を説明する理論です(梅澤伸嘉『消費者ニーズをヒット商品に仕上げる法』ダイヤモンド社、1984年)。
 商品力を構成する要素は「買う前に欲しいと思わせる力」と「買ったあとに買ってよかったと思わせる力」からなっており、前者を「商品コンセプト(C)」、後者を「商品パフォーマンス(P)」と定義します。

◇消費者は商品を購入する際、「買う」という行動をはさんでその商品を2度評価するのです(梅澤伸嘉『消費者は二度評価する』ダイヤモンド社、1997年)。1回目の評価が「その商品を欲しいか否か」で、これは商品コンセプト(C)に依存し、2回目の評価は「買ったあと、買ってよかった(また買おう)と思うか否か」で、これは商品パフォーマンス(P)に依存します。
 このCとPがともに高くないと、「売れ続ける商品」になりません。これが「C/Pバランス理論」の基本的な考え方です。

◇CとPはともに「売れる商品」の構成要素ですが、それは下記の図(C/Pバランス理論の田んぼ)で表せます。 縦軸(C:買う前に欲しいと思わせる力=商品コンセプト)、横軸(P:買ったあとに買ってよかったと思わせる力=商品パフォーマンス)ともに上または右へいくほど消費者にとって魅力的な商品となります。
 つまり、右上のゾーン(成功商品)ほど、買う前に欲しいと思わせる力が強いので初期購買が多く、また買った後でよかったと思わせる力が強いので、再購入(リピート購入)につながることで長く売れ続けることができます。

◇一方、Cのみ強い場合(左上:線香花火商品)は、はじめは売れますが再購入に結び付かないため売れ続けることができません。商品のパフォーマンスを改良しない限り、一発屋的商品になってしまいます(初めはいいと思ったが思い通りでない、もう買わないという反応を起こす)。
 他方、Pのみ強い場合(右下:スロースタート商品)は、商品のパフォーマンスはいいので再購入率が高いのですが、コンセプトが悪いため、「最初に欲しいと思わない」わけです。
したがって商品の良さが認知される前に配荷されなくなり、世間にしられぬままお蔵入りしてしまうことになります。

すべての商品は発売される前にすでに商品力(CとP)によって売上のパターンが運命づけられているのです。すなわち、商品コンセプト(C)が魅力的に仕上がっており、商品パフォーマンス(P)がよくできている、ということがその成功にとって不可欠なのです。

C/Pバランスの田んぼ

もっと詳しく知りたい方へ、以下をお勧めします

セミナー  商品開発基本コース
書籍    消費者は二度評価する (ダイヤモンド社 1997年)

未充足ニーズ

理論

「どんなニーズに応えたら売れるのか」

◇「売れる商品」には、その要素のひとつとして優れた商品コンセプトがあります。では、すぐれた商品コンセプトとは、どのようなニーズに応えたものなのでしょうか。
 「未充足ニーズ理論」は、梅澤が数々のコンセプトテストと市場での成績との相関研究をもとに1986年に発表した「どんなニーズに応えたら売れるか」を説明する理論です(梅澤伸嘉『ヒット商品づくりの文法』ダイヤモンド社、1986年)。

ニーズの深層構造

◇消費者ニーズ(※)の深層には、普遍的な「基本(be)ニーズ」(人生ニーズ)があって、それを満たすために「行為ニーズ(do)」(生活ニーズ)が発生し、そのニーズが商品やサービスに触れると「欲しい」という「対象・所有(have)ニーズ」をもたらすのです。 つまり、商品に触れて「欲しい」と思ったときにはその背後に「行為ニーズ」(生活ニーズ)があり、さらにその背後には「基本ニーズ」(人生ニーズ)が隠れています。このように3種類のニーズは、互いに目的-手段の関係でつながっています。

(※)消費者自ら満足を得るために行動を駆り立てる動因機能及び状態のことをさす。(梅澤伸嘉『消費者ニーズの法則』ダイヤモンド社、1995年)

◇しかし、商品に触れればすべて「欲しい」と思うわけではありません。「行為ニーズ」の「したい、やりたい」の度合の強さ(ニーズの強さ)と、「でも現状ではできない」という満たされない(未充足の)度合がともに高い、「強くて、未充足のニーズ」に商品が応えたとき、消費者は無条件でその商品を「欲しい」と思うのです。
 「行為ニーズ」にはこの「強くて未充足」(◎−◎)に加えて、「強いが未充足でない」(◎−×)、「弱いが未充足」(×−◎)、「弱いし未充足でない」(×−×)という4種類があります。それぞれのニーズに対する反応(haveニーズ)は下図のとおりです。

◇ほとんどの商品開発・企画者は、「ニーズが強いか、弱いか」のみを考え、「未充足度が強いか、弱いか」を無視する傾向にあります。「強くて未充足」な<天才コンセプト>の商品を作ることが大切なのです。 

未充足度ニーズの田んぼ

 

もっと詳しく知りたい方へ、以下をお勧めします

セミナー   CAS商品コンセプト評価コース
書籍    消費者ニーズの法則 (ダイヤモンド社 1995年)

新市場創造

理論

「長期シェアNO.1商品を開発するために」

◇消費者の「生活上の問題」を解決することによって、新市場を創造し、生活変化をもたらした商品を
「新市場創造型商品(MIP :Market Initiating Product)」と呼びます。
このMIP商品は長期間(10年以上)シェアNO.1を保てる商品で、我々は調査研究から次のような理論を導き出すことができました。 MIPの例はコチラ

1.「新市場を創造した商品は、後発商品の100倍の確率で成功する。」

 発売される商品数で、どのくらいの確率で成功するかを比べると、MIPはその2つに1つ(53.8%)が10年以上シェアNO.1を保つのに対し、MIPが創造した市場に後発参入した商品がシェアNO.1になれる確率は200に1つ(0.5%)である。

2つの成功率比較

2.新市場の創造は、消費者の「生活上の問題」を解決することで実現できる。」

 世の中に登場する新商品のほとんどは「商品上の問題解決」に終わっています。つまり、生活をヒントにするより、商品をヒントにした新商品開発がほとんどです。一方、消費者の「生活上の問題」に着目し、従来の商品やサービスでは満たすことのできなかった「未充足の強いニーズ」に応えれば、現市場の外に市場を作るMIPを意図的に開発できるのです。

◇新市場創造理論にしたがってMIP開発を行うことで、企業は数々の経営メリットを享受することができます。
・長期間シェアNO.1の商品を持つ企業になれる
・成功率が100倍も高い
・シェア食い合いのロスから脱却できる
・長期にわたり、売上と利益が安定的に累積される
・成功商品の好循環をもたらす(1)追われる開発からの解放
・成功商品の好循環をもたらす(2)優良少子化戦略
・既存品の健全育成をもたらす
・創業の成功率が高い
・少ない広告費で多大な効果が得られる−パブリシティー効果が高い
・無名のメーカーでも小売業が積極的に扱ってくれる
・世界初のMIPは世界の市場でシェアNO.1になれる
・新技術開発で先行できる
・強力なブランドがもてる−ブランドとはカテゴリーの代表である
・地球資源のロスが軽減できる−企業にできる最大の環境貢献は失敗商品を作らないこと
・MIP開発コストは安くつく
・MIP販売コストは安くつく

もっと詳しく知りたい方へ、以下をお勧めします

セミナー  商品コンセプト開発コース 〜キーニーズ法〜 「ニーズアプローチ」「シーズアプローチ」
書籍    ヒット商品開発(MIPパワーの秘密) (同文館出版 2004年)

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